すぴっと

いろいろな事をいろいろな熱量でバイアスかけまくりで書く

9forは再び主人公の筋書きに戻れるか

昨年度はじょうが優勝した戦極U-22。

 

流れとしては前年度優勝した9for、ダンジョンを制し「獲るなら今」のニガリ、若年層への支持を多く得ているミステリオやモンスターの裂固が有力候補の中、優勝したのは浪速の悪魔王子だった。

 

じょうのダサい二つ名は置いといて、個人的にはじょうが優勝したのは意外だった。

 

もちろん、じょうも前述の有力候補に並ぶ実力の持ち主ではある。

固いライミングにある種オーディエンスを引かせるレベルの痛烈なディス、そしてこれまで積み重ねてきたプロップスと、その実力の根拠の羅列に暇がない。

 

ただ、「優勝するか」と聞かれると、「ベスト4に入ってそう」と答えるのが正直な感想だった。

 

というのも、個人的にじょうの実力が頭打ちで、伸び代が無いように感じているからだ。

別な言い方をすれば、「沸かせる限界点を予想できてしまう」ということ。

 

バトルのスキルが確立されてしまったが故に、それ以上の展開が現時点では見込みにくい。

常に70~80点の出来は期待できるが、120点を出しにくい。

 

そんなイメージをじょうに抱いていた。

 

前述の9forや裂固は持ち前のスキルで。ミステリオは会場の空気の掌握で、120点の力を時たま発揮する。

素の実力だけでなく、その場の調子も勝敗に左右するMCバトルでは、そういった要素を持つMCが優勝をかっさらっていくと思う。

 

 

ただ。

 

 

実際に優勝したのはじょうであり、決勝を戦ったのはT-TANGGだった。

 

組み合わせや相性の妙も少なからずあるが、じょうにとっては9forがK'ILLに敗れたこと、そしてニガリを下したことが大きい。

 

ガリも実はどちらかと言うと安定して高得点をたたき出すタイプなのだが(勝手にそう思っている)、その得点数がじょうよりも上なのだ。80~90点を常に叩き出し、よっぽど調子の良いMCがいなければ優勝をそのままかっさらっていってしまう。

 

しかし、じょうはニガリを打倒した。それは9forが初戦敗退したことで「荒れる」大会であるという雰囲気が漂っていたこともあるかもしれないが。

 

9forが敗れ、裂固もNouTYに敗れ、本来筋道上主人公に据えられるはずの強者が去り、そしてニガリを打倒した瞬間、じょうはその場の「主人公」になりえてしまった。

 

 

「主人公になる」、というファクターはMCバトルの大会において相当に重要であると言える。

 

例えば戦極18章。

初戦でIDとベストバウトを繰り広げ、ふぁんくを文句無しに打ち倒したSAMにはその空気が纏われていたし(だからこそそれを真っ向からへし折った呂布カルマはほとほと凄まじいのだが)、旬なMCを尽くパワーでなぎ倒す漢の活躍はもはや会場全員が期待していた。

 

 

様々な要因が混じりあって、できあがってしまったじょうという「主人公」を覆すほどの最高到達点は、T-TANGGでは出しえなかった。

 

余談ではあるが、私はT-TANGGがめちゃ好きである。バイブス×ライムというCIMAタイプではあるが韻がより細かくしっかりと上がる地点を作る、バトル巧者だ。

 

 

そして、じょうが優勝した。

栄えある戴冠だが、大会全体として「荒れる大会」だった為、スッキリとした後味が得られなかった。

 

やはり惜しまれるのは、9forの早期敗退だろう。彼がある程度この物語の主役級として戦っていれば、溜飲の下る展開が見れたかもしれない。

 

 

そんな中、2019年度の予選が始まっている。

第3次予選において、9forは見事優勝し本戦の出場権を獲得した。

 

優勝からの、早期敗退。そしてリベンジ。

 

物語の道筋は、既に整っている。後は「真打ち」として、檜舞台に舞い降りるだけだ。